1.通過型観光都市から宿泊型観光都市へ脱皮する為に甲府城が必要です。

 現在山梨県には年間実人数3,600万人の観光客が訪れ、3,000億円のお金を落として下さっています。
しかしこの大きな観光収入は隣県の長野、神奈川、静岡に比べると半分にも及びません。
 富士山があり、南アルプス、八ヶ岳と自然景観に恵まれていても、ポイントとなる観光の目玉が国中地区では「県立美術館のミレーの絵」と「昇仙峡」ぐらいしかなく、観光客はバスからおりて一見したらそのまま宿泊先の長野の温泉地か箱根までいってしまいます。
 そこでもうひとつの観光の目玉を造る必要があるのです。
それが甲府城です。


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2.現在甲府城の整備はどこまで進んでいるのか? 

 今、甲府城は穴太(あのう)積みという歴史的に大変価値のある石垣が整備されその上に美しい白塀がはりめぐらされました。
 また内松蔭門(うちまつかげもん)<山交デパート東側>、稲荷曲輪門(いなりくるわもん)<遊亀橋北側>、鍛冶曲輪門(かじくるわもん)<やまなみ信用北側>の三つの門が完成し、更に『稲荷やぐら』も復元・再建されました。
そして今、鉄(くろがね)門の復元工事が進んでおります。


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3.一応終了された甲府城整備計画はどうなるのか? 

 現在、整備計画は、一応終了しましたが、極めて中途半端なものとなり観光客に来てもらえません。
特色ある甲府城の歴史的建造物である銅(あかがね)門、さらには天守閣を再建することにより、他県からの観光客の受け皿として完成するものと思います。
行政当局には是非とも第二次整備計画を策定していただき十分に観光の目玉として来県者に喜んでもらえる甲府城の整備をしてもらいたいものであります。


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4.甲府城の周辺整備など観光客の受け入れ体制は? 

現在、県はスクランブル交差点からの景観をさまたげている歩道橋を撤去し、「県民会館の大ホール」の跡地を公用車の駐車場として整備しました。
しかし公用車に限ってしまうのは困ります。甲府城を大型観光バスで訪れる観光客の駐車場スペースを確保する(現在東側に大型バス二台中型二台分の駐車場を整備した)為にも、使用させて欲しいものであります。
また甲府市は甲府城遊亀橋から岡島北まで直線で通じる「城下町通り」の整備を進め、あとわずかで開通するところまできております。このような周辺整備は甲府市が「通過型観光都市」から「宿泊型観光都市」へ変貌する為の重要な要素の一つであります。
--> 水辺の少ない甲府市中心地に「水辺を造り、しっとりとした情緒溢れる城下町」の風情を取り戻すため、県庁防災新館建設後に無くなる県庁東別館や、県民会館の跡地の県有地に、甲府城の内堀を元々あった形に復元、拡大する事を提案したい。
また、移転する事が決まった甲府税務署跡地は、小江戸の城下町を彷彿とさせる歴史的町並みを再現し、大型観光バスの駐車場を整備する「お城フロント構想」を修景計画策定にあたり提案したいです。

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5.宿泊型観光地になったときの経済効果を期待しよう! 

甲府城が完成し、甲府の観光の目玉が増えれば、北関東から雁坂トンネルを越えて来た観光客は、山梨市の「フルーツ公園」に寄り、「昇仙峡」と「ミレーの美術館」「武田神社」を見学して、甲府城に入ります。
甲府城の天守台から富士山を正面に眺め、南アルプス・八ヶ岳・甲斐駒ケ岳・秩父連山の一大パノラマ景観に感動し、そのまま下城して遊亀橋を渡り、城下町通り(この通り沿いにワイン・印伝・煮貝・ニット等の地場産品を集積する)を歩いて市の中心街を散策することになります。その間、空きバスは中央公園に移動する(市街地活性化法で中央公園の使用が可能となった)。
そこで時間は午後4時から5時頃になりますので、「甲府中心街のホテルか湯村温泉」、遠くても「石和温泉」あたりに宿泊することになります。夜はライトアップされた甲府城天守閣がくっきりと浮かび上がり、宿泊客も夜の中心地へ繰り出すでしょう。
ホテルや旅館に大勢の観光客が宿泊されると、お産品はもちろんのこと、ホテル等へ出入りの業者、八百屋さんや魚屋さん、その他多数の業者さんも繁盛するために、設備投資も含めて建設関係の仕事量も増加します。
消費が活発になり、法人税収が上がり市税県税収入も増え、県や市は福祉や生活環境の整備に予算が十分に使えるようになり、高齢化社会へ向かい理想的社会形成ができるのです。


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6.今、全国で自分達の地域の誇りある歴史的伝統的建造物を生かした町づくりが進められています。 

全国の復元城郭建造物は昭和34年以降だけでも47棟を数えます。そのうち木造天守閣の復元は

@平成3年の福島県白川小峰城
A平成6年の静岡県掛川城
B平成6年の宮城県白石城
C平成16年に愛媛県大洲城
の4棟があります。

城下町整備を中心とした町づくりは、島原市の島原城と城下町整備や長野市の松代城と城下町整備をはじめ、松山城・金沢城・赤穂城・丸亀城等全国各地でその歴史的建造物群を生かした町づくりが積極的に進められております。

特に全国の中心市街地活性化の成功例として挙げられる、滋賀県長浜市の「長浜城の再建と黒壁ガラススクエア」とを合せた「まちづくり」は成功し、客は「通行人4人に猫一匹」しか通らないと言われた街が、今では年間140万人を越える観光客が訪れにぎわいのある街に変貌しました。


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7.不景気の続く日本。今こそ地方は地方で独自な地方経済の活性化策を考える必要があると思います。 

 現在の甲府市は「商業都市」または「工業都市」なのか、あるいは「観光都市」なのかは漠然としておりますが、近年の甲府西武閉店に続きトポスも撤退してしまったことで、特色ある街づくりが益々重要になって来ています。
 今こそ中途半端ではない「本格的な観光都市―特色ある城下町甲府―」の形成を目指し、その核となる「甲府城の再建」を市民みんなで真剣に考え実現しましょう。
 最近、甲府商工会議所が中心となってキャッスル・ファンドを創設して市民が募金活動を行い「市民一人ひとりが甲府城主となる」という考え方で大きく前進しています。