旅をする蝶 アサギマダラ



初狩野(ハジカノ)から大和村日川渓谷へと上がっていった林道でアサギマダラという蝶に出会った。私にとっては幻の蝶でしたので、その時は嬉しくて毎日採集に通ったほどです。

しかし、山梨ではごく普通種であることが段々判ってきました。


今年8月2日に牧丘町乙女
高原にてヒヨドリソウで吸蜜
しているところを撮影

アサギマダラはこの花が大好
物のようだ。
一旦止まると長時間います。

今年は梅雨明けが遅く昆虫
の世界も例年とは違う状況
のようだった。

昆虫の生態写真を撮るのは
困難を極めます。
採集してしまうほうが何倍も
楽です。もっとも機材が安物
というのも原因かも・・・。

その後も清里美し森、南アルプス、牧丘町乙女高原と比較的標高の高い場所にそれも8月初旬に集団で集まっていて、その頃行くと多くの固体を見ることが出来ました。
道端の白い花(ヒヨドリソウ)にアサギマダラが数多くいてその林道を駆け抜けると驚いたアサギマダラが一斉に飛び立ち林の中に幻想的な風景が広がります。
単体でも低山をフワフワと6月頃より飛んでいるのを見ます。極端な話、盆地の庭にも飛んできているかもしれません。
ところが、上記のように8月の初旬には集団で居たアサギマダラが数日後にはかき消したように1匹も見なくなります。

それは何故なんだろうと不思議に思っていました。
NHKのTV番組で同じマダラチョウの仲間でオオカバマダラという蝶がいますが、日本でも南の島や台風の後、迷蝶としてとんでもない場所で採集されたりする蝶のことを放送していました。
この蝶は1000キロ単位の距離を集団で移動し、冬の寒い間は南で越冬し、春になると北上するという面白い習性があると。

そして、本土では唯一のマダラチョウであるアサギマダラも旅をする蝶だといわれるようになりました。
まだ、詳しい生態は解っていませんが、この蝶を捕まえた場合、マジックで日付けと場所、連絡先をマーキングして離してやるとその蝶を別の場所で捕まえた人が報告をするということをやっています。
その結果、アサギマダラも何百キロも離れたところで再採集されたと報告されているそうです。
きっと将来はもっと詳細な生態が明らかになるでしょう。

8月の初旬あんなに多数いたアサギマダラが、いなくなるのは旅に出たのだと思うとなんとなくロマンチックな気持ちになります。
山梨のアサギマダラはどこ目指して飛んでいくのでしょう?


アサギマダラの♂
後羽に雄の印である黒い性班紋がある。
アサギマダラの♀
雌は全体に羽が丸っこい感じがする。


今年は長梅雨の低温が影響しているらしく8月に入って一斉に昆虫達が活動しはじめたという感じで蝶もみな新成虫で綺麗でした。
クジャクチョウ、エルタテハも沢山発生していましたが、使える写真は撮れませんでした。
この蝶、羽を閉じた状態だと枯葉のような汚らしい蝶に見えるのですが、日の光の中、羽を開くととても綺麗な蝶なのです。何時かよい写真がとれた時に・・・。

スジボソヤマキチョウ♂ ミドリヒョウモン♂

日本にはヤマキチョウとスジボソヤマキチョウの二種類がいますが、私にはどうも区別がつきません。写真は多分スジボソヤマキチョウだと思います。シロチョウ科の蝶で羽の形が尖っているのが判りますか?羽を開くとハートの形のように見えてとても可愛らしいです。雌は白い色をしています。
この蝶は成虫で越冬し、春になるとボロボロですが、陽光のなかチラチラと飛んでいる逞しい蝶でもあります。

夏の高原へ行くと必ず目にするヒョウモンチョウの仲間たち、ヒョウモンチョウも種類の区別が難しい蝶の一つです。ヒョウモンと付いているようにヒョウの柄のような模様は、どのヒョウモンチョウも似ています。
このミドリヒョウモンもメスグロヒョウモンの雄と非常に似ていて飛んでる姿からは区別できません。メスグロヒョウモンの雌は名前のとおり全くヒョウモンチョウらしくない黒い色していて擬態をしていると言われています。
自然とは面白いものだと思いますね。



以下、牧丘町乙女高原のお花畑の花達の写真です。標高1700m〜2000mのところにあり、ここは保護育成しているので、この付近では昆虫採集も出来ません。
こうやってクローズアップ的に花を撮ると、それぞれ美しい可憐な野草という趣きですが、花畑の全体を眺めるとただの草原という感じで人工的に作られた花壇が非常に派手なものだと思うようになります。

オオバギボウシ タムラソウ ノコギリソウ


キンバイソウ シモツケ クガイソウ
作成日2003年8月