New Chiefs Special
MGC 2代目 金属 チーフ



古いモデルガンの話は興味があっても詳しくは知らないので、いろいろな意見や記述を見て自分なりに咀嚼して書いているため間違いがあるかもしれない。まずこの点は断ってから話を進めたい。

ところで、最近ボロのMGCチーフが我家から発掘された。これは、20年近く前遊びに来た知り合いが、粗大ごみ置き場からビニール袋に入れられ人知れず捨てられていたバラバラのチーフを拾ってきたものだった。後日MGC新宿店(とっくの昔に無くなった)に行って足りない部品を注文したら驚いたことにメインフレーム以外全てストックされていた。1980年代になってもショーウィンドに飾られることなく扱っていたんでしょう。不足部品のみ組み込んだだけだったのでダブルアクションでハンマーが起きなかった。もうそれ以上やる気も失せ、それっきり忘れていたのだった。
そういう訳で今回は歴戦の勇士MGC2代目チーフスペシャルである。

2代目と言っても知らない人のためにチーフスペシャルの代表的モデルの概略を述べておこう。(もっとも、多くのメーカーによって製作されたチーフを網羅的に解説する能力がないので代表的モデルに限った。というより2代目チーフ以前のモデルについては見たことがないので良く知らない)

モデルガン史上リボルバー第1号はMGC初代チーフスペシャルでモデルガン創生期の1963年頃の発売だそうだ。これは5本スクリュータイプのオールドチーフを改良した1953年頃の初期タイプの1つで小判型サム・ピース、4スクリューモデルであった。そして、日本人の手に合わせた細身のチーフになっていたそうだ。また、長銃身のモデルをハンドエジェクターと呼称する習慣もMGCが始めたことらしい。
当時から人気モデルだったが、類似品のコピーが出回わったため、ニュー・チーフペシャルとして2代目にリニューアルされた。それが1969年のことだそうだ。
初代チーフに続き2代目も爆発的に人気のあったモデルであったと聞く、丈夫なアクションで少々激しく空撃ちしたぐらいではヘコタレなっかた。リバウンド・メカを取り入れ作動に関しては絶好調のモデルであったのだ、ホビーフィックスの解説(ディティクティブの取説)にもアレンジはあったとはいえMGCリボルバーの技術的頂点と書かれているぐらいだ。

MGC純正木製グリップを取り付けた2代目チーフ、元々ゴミとして捨てられていたものの為、メッキもハゲハゲだったので塗装し直し
た。組み立て中リバウンド・スプリングを飛ばしたのでハンマーノーズが飛び出してしまっている。
写真では良く解らないが、サイドプレートは劣化してヒビだらけになっている。

また、外観的なことでは2inバレルと言いながら実測すると銃身が短く、その昔MGCのは間違っているのではと実しやかに言われたが、後年実銃も2inないことが判明しモデルガン・レポーターも「ウヘェ〜」と驚いたというのは有名な話。
その他では本来サイドプレートを3本スクリューで留める当時最新タイプのはずだが4本のスクリューになっていたし、プレート上部の形もアレンジされたというより簡略化されたものだった。
まだ規制前の時期だったから黒くマズルフラッシュの見える撃って楽しいモデルゆえ内部部品の形やサイドプレートの形がリアルでない点を問題にするのは一部マニアだけだった。

外観から内部構造まで完璧版になったのは、1981年頃発売のCMCのプラ製チーフであった。これがハンマーブロックが組み込まれりしたCMC2代目チーフである。2代目は2inと3inのバリエーションになり、後者は特別ハンドエジェクターと呼ばなくなった。
CMCの初代チーフは1975年頃に仕上げの良い金属モデルとして発売されていた(詳しくは2004年4月号モデルガン銘鑑Vol.19を参照)。初代は2inと4inのバリエーションで、後者はハンドエジェクターとしていた。
更に1985年頃には2代目プラ・チーフを金属化したM36チーフスペシャルも存在した。

しかし、この頃になるとコクサイからSWアクションの完成形たるM19が既に発売されていた。コクサイの一連のヘアライン仕上げの金属リボルバー・シリーズは更にM29、パイソンと続き「リボルバーのコクサイ」という言葉も完全に定着させていた。そして4番目にフルモデルチェンジされたM36チーフスペシャルが発売されたのだった。結果はCMCは消え、WAからも当時発売予告がなされたものの結局取り止めになってしまった。
その他にも旧タイプのコクサイ製やマルシン、アサヒイーグル等のモデルガンも存在するのだが系譜が良く判らないので省略する。
現在ではハートフォードからCMC型のプラM36、コクサイのは24kメッキモデル、プラ製M36やM60として入手することが出来る。

写真上左−MGCチーフのグリップフレーム後部にはグルーブが入れられている。

写真上右−チーフのカートリッジ各種、左2発と箱はMGCのもの、3番目はCMC用、右端がコクサイ用
左端のカートリッジは初期の38スペシャル弾で、デリンジャー等と共用だったと思う。2番目と箱は修理時にMGC
で購入した時のもの。
家に転がっていた他のJフレーム
左よりMGCチーフ2代目、コクサイ現行初期M36(ヘアライン仕上げ)、CMCプラ・チーフ3in、
タナカ・ボディガード(ガスガン)
MGCのサイドプレートのアレンジが判るだろう。CMC以降最近のものはリアルな構成になっている。
タナカのガス・リボルバーは素晴らしい精度で、隙間が殆どない。そういうモデルガンも見てみたかった。

このようなチーフの略歴だが、モデルガン絶頂期を知る40代以上の人に聞くと大抵MGC2代目チーフ愛用していたと答えるので、傑作モデルであったことは確かなのだ。
なお、今回のモデルの発売時期を推理すると1971年の第1次規制と77年の第2次規制の間のチーフではないかと思う。
銃身は鉛のような柔らかい金属を流し込んであり、シリンダーは切り込み等の加工はなされていなかった。刻印類は、MGCのロゴをSWマークに模したマークがサムピース下とサイドプレートに大きくあるのと、トリガーガード上に小さくJAPANと入っているだけだった。
ただ、サイドプレートがボコボコと歪んだ感じで汚らしかったので、修理時に刻印が消えかけるぐらい削ってしまった。それがいけなかったのか今ではヒビだらけの状態になっていた。
規制前のモデルも見せてもらったことがあるが、もうちょっと良い出来だったと思う。刻印ももっと入っていたかもしれない。

以下は、当時のチラシ、カタログ等の写真やちょっとした謎などを載せておいた。

写真左
第1次規制直前頃のMGCモダン・リボルバー・コレク
ションというチラシ(1970〜71年頃と思われる)

コンバット マグナム2.5in、Colt ディティクティブ、
ニュー チーフスペシャル(ターゲットグリップ付き)、
オフィシャルポリス、パイソン4inの往年の姿を見る
ことが出来る。
規制後虹色メッキと言われる仕上げとなり、外観も劣
化していった。

写真右
MGC2代目チーフと昭和52年規制後の取説とパーツ
リスト
グリップはノーマルのプラグリップ
下写真・左/中/右
昭和45年の第2次大戦各国軍用品カタログNo6に載っているモデル。誤解がないように付言しておくが、第1次規制前
のカタログだから黒いモデルガンなんですよ!

左からチーフ、ハンドエジェクター4in、そしてセンチニアル、最後のセンチニアルについてはGUN誌でも錯綜していて2000
年4月号モデルガンアンタッチャブルACT132では国際産業と紹介し、2007年3月号ではMGCとなっていた。
モデルガン・グラフィティという本ではこの左写真自体をMGC初代チーフと紹介していた。

間違いを指摘したくて言っているのではなくて、自分はこれらのモデルを知らないためMGCなのか国際なのか、MGCコピ
ーなのか全くわからない。
MGCのものなら第2次大戦各国軍用品カタログに載っている数少ないMGC製品であると同時にMGCの同時期のカタロ
グには載っていないモデルということになる。ちょっとした謎である。
写真左−第二次大戦各国軍用品のカタログ(No5 : 昭和43年3
月発行 と No6 : 45年1月発行のもの)

上記写真は両者に載っており、中田系のモデルガンと軍装を中心に
編集してある。
No5は約18ページでモデルガン中心、No6は約62ページで軍装関
係が増加し、10周年記念カタログと赤字で入っている。

No5はYMCの、No6は昔代々木にあったポストホビーの印刷があり、
裏表紙には昭和35年のマテル等の古いモデルの写真が載っている。
もちろん当時でも「販売は終了しております」の但書きがついている。

参考文献:ホビーフィックス−デティクテブ・スペシャル取扱説明書、モデルガン・グラフィティ
GUN誌2007年2月号、2004年4月号、2000年4月号、1985年9月号
コンバット・マガジン1981年9月号
作成日2007年3月