CMC / S.A.A.
シングル ・ アクション ・ シックス ・ シューター


古本屋で昭和37年(1962年)に発行されたヒッチコックマガジンの増刊号を見つけた。

私は、ミニチュアなら何でも興味があるのだが、モデルガンというと1/1スケールが当然で、それより小さいミニチュアはモデルガンとは言わないと思う(但し、マルゴーのJrモデルのようにお子様の手に合わせたものは一応モデルガンかも・・、ようするに例外は存在するということ)。おそらくミニチュアは、ストレートにミニチュア・ガンというのでしょう。
日本独自の風土の中から生まれたモデルガン、ちょうど昭和37年(1962年)にモデルガン第1号のMGC VP-Uが発売されたのもこの頃である。

モデルガンは昭和46年(1971年)と52年(1977年)の2度にわたる法規制があり、ある日突然おもちゃだったものが、模造銃となり本物と同じ扱いになってしまうという危うさを持っているところが一番興味深い。
S37年1月発行のヒッチコックマガジンにGUN事情
やウエスタンブームについて書かれていて興味深
い。


当時はまだ日本製のモデルガンはまだ作られ
だしたばかりの時代らしく、輸入ガンの広告の
みでした。
NICHOLSやHUBLEYの西部時代のガンが中
心だった。
さらにモデルガンは絶滅寸前でモデルガンのメーカーは消滅しつつあって新製品は夢という状態だそうだ。何となく着せ替え人形の現状と似てなくもない。

かつてウェスタン・ブームが在った事がこの雑誌の内容からも明らかで、銃と言えばSAA(シングル・アクション・アーミー)、即ち西部劇で使われるピースメーカーが最もメジャーな銃だったと推察される。
記事には当時ウエスタンクラブがあってテンガロン・ハットにウエスタン・ブーツを履いて、ジョン・ウェインやスティーブ・マッキーン(記事ではこのように表記されている)の格好でガンベルトに輸入ガンを挿して早撃ちに興じていたとある。読んでいて興味深かった。



1971年規制後のCMCピースメーカー
良く細部を見てみるとシリンダーにはインサートがなく筒抜け、シリンダーの隔壁
の切り欠きはある。
バレルの刻印は、COLT FRONTIER SIX SHOOTER.44とある。

バレルには、鋼材がインサートされているが、わずかに隙間があり発火させる
とガスが抜けた。
ハンマーによって押し出されたカートリッジの先端がバレル
の発火ピンに当たって発火するシステム。
シリンダーは発火システムの違いからインサートなし、カートリッジもフルサ
イズ。
実銃のハンマーの形とは
かなり違う。
MGCのものも似たような
ハンマーだった。

我が家にあったCMC・ピースメーカー、1971年第1次規制前から売っていたものだが、規制で表面を黄色にし(金色は可)銃身は閉鎖しなければならなくなった(規制前でも通常は銃身にインサートと呼ばれる板状の鋼材が改造防止用に入っていた)。
このピーメは、ちょうど規制後のもので色・銃身以外では往年の姿を最も残しているものの一つと思われる。
もっとも、GUN誌リポーターくろがね先生のモデルガン銘鑑(2006年8月号)によるとイーグルグリップになったのは74年頃だそうなのでこれもその頃のものと考えられる。

1968年頃発売の初期の東京CMCのピースメーカーは、リアル志向でシリンダーは筒抜けでバレルにあるファイアリング・ピンで発火させるという特徴を持っていた。
我が家のCMCも、あろうことか規制にもかかわらずこれを踏襲し銃身には鋼材が新たに挿入されているが、わずかに隙間があり発火させるとガスが前方に抜けるという掟破りのモデルであった。

くろがね先生によればCMCがこれを発売後銃身の隙間は当局よりクレームが付けられアカンということになって、完全閉鎖されることになったそうな・・・。
暫くの間は隙間にパテを押し込んで売っていたそうである。その後、完全閉鎖のバレルに変更されたとか。

そして、シリンダー筒抜けタイプは業界の自主規制であるSM規格に合わず、結局惜しまれつつ消えていったモデルということらしい。

さらに、このモデルの前に既にモナカ構造のピースメーカーをCMCでは発売していたそうだ。そのため人によってはこのモデルを2代目ピーメと呼び、完全リニューアル後のモデルを3代目と呼ぶらしい。
リニューアル後、金属モデルはオールド・モデルと通常モデルとの二種類のラインになり、金属モデルとABSモデルを併売し、部品に互換性があるためABSモデルに金属モデルのシリンダーを入れたりすることが可能だった。
各部のスタイリングはかなり手が入りトリガーガードやトリガーの雰囲気は全く異なるものとなった。
メインフレームもネジ位置なども微妙に異なるし、各部の寸法も違っているので、かなりスマートな印象になっている。この当時は実銃に近いモデルとして評価の高いモデルガンだったそうだ。
また、それでもバックストラップは同じらしくヘラジカ・マーク入りのイーグルグリップは継続して使われていた。
たまたま3代目ピーメも手元にあるので以下比較写真を見て下さい。


左側
71年規制後に発売されていたシビリアンモデル
右側
CMCが無くなる直前の最後期のキャバルリーモデル
シリンダー貫通モデルの左側刻印 「PAT.SEPT.19,1871 JULY2,72,JAN.19,75」・
ランパンコルトのマーク・SMGマークがある。

バレルの刻印は2代目は「COLT FRONTIER SIX SHOOTER 44」と
3代目は「COLT SINGLE ACTION ARMY 45」となり、見慣れたものとなっている。
右側刻印、CMC No.C1934 19871 MFG.CMCの刻印
シリンダーの違いは当然としてもネジの太さ、位置も若干違うようだ。
2代目シリンダー貫通モデルのパッケージ 3代目リニューアルモデルパッケージ


77年規制後、SMGマーク付最後期のCMC金属ピースメーカー
(キャバルリー)とシリンダー貫通モデル
よく見ると各部のネジ位置や寸法が異なりスマートな印象になっ
ている。SMG付きは今でも売買可能なモデルガンである。
3代目のカートリッジ
シリンダーにインサートが入った結果
カート内発火システムに変更になった。

参考:GUN誌2005年8月号モデルガン銘鑑Vol.35
作成日2003年9月
2006年3月編集加筆