モデルペット 2代目 マスターライン




1959年、国産最初の本格的ダイキャスト製ミニカーがアサヒ玩具から発売された。
当時の日本ではまだブリキ玩具全盛の時代であったにもかかわらず海外メーカーに負けない多くの国産車ミニカーを出した。その名をモデルペット(MODELPET)といった。

ネット検索でも多くのサイトが資料として参考文献に挙げている「国産ミニチュアカー考古学」が手に入ったので、私もこの本を参考にレポートしたい。

「モデルペットではトヨペット・クラウンをNo1にして1973年の生産停止まで78種類出され、特に初期のモノは、イギリスのコーギーやディンキー風の実車に忠実なダイキャストモデルであった」と書かれている。
それでも、現在のエブロ等が出している精密なダイキャストモデルに比べれば、大雑把なものだが、今となってはそれがレトロで良いとされるのだろう。
初期に発売されたものは車種選定や実車の雰囲気を出していたためマニアの間でも特に評価が高い。
このようなヒストリックなミニカーは、最近になるまで一部の車種を除いて対象外であったから尚更だった。
ドアやボンネットの可動が取り入れられた頃から全体のプロポーションを崩し評価を下げてしまい終焉に向かったのだ。
現在でも人気のあるトミカが1970年の発売だから、まさに日本製ミニカーのパイオニアだった。

ところで、トヨペット・マスターラインという営業車(ライトバン)をモデルにした極初期のモデルペットNo2が我家にあったので今回はこれについて。

この本によると「第1号のトヨペット・クラウンが1959年10月に発売になり、No2のトヨペット・マスターラインは、60年2月に発売になった」、そして、「初期のものは、座席といった内装はなかったが、No13マツダR360クーペ(61年8月発売)から座席が装備されるようになった、以前のモデルもSナンバーを付けた仕様変更を受けただけでなくホイールも変更になった」とある。

私のは、座席なしの極初期のものと判明し、サーモンピンクの同じカラーがこの本に載っていた。
カラーバリエーションは、他にもライトブルーと白のツートンや白の単色等あるようだが、座席の有る無しのバージョンがあるため、どのタイプにどのようなものがあるのかはこの本にも載っておらず不明である。

マスクがクラウンに似ているのは、観音開きクラウンベースに2代目マスタ
ーラインが作られたからである。
2代目マスターラインは1959年3月に登場。

MODELPET No2マスターライン。モデルペットやミクロペットでこうしたライトバンがいくつかあった。
モデルペット最初期のミニカーで箱にはNO2とある。アクションや内装は無くさっぱりとしたもの。
しかし、当時の海外メーカーのように可動部はなかったが、プロポーションは遜色のない型彫りであった。

実車の初代マスターラインは、1955年12月に発売され、ピックアップ2種とライトバン1種の計3種類があり、当時は乗用車と荷物積載能力から大ヒットした車だった。
当時の実車カタログによるとライトバンタイプが79万3000円とあり、クラウン・デラックスが110万円だったことから30万円近く安く好評だったというのも理解できる。そして、1959年3月観音開きのクラウンをベースに2代目マスターラインが登場した。
このモデルペットNo2のマスターラインは、当時バリバリの新型車をモデルに加えられたものと思われる。

1955年に観音開きのクラウンと
同時代にデビューした初代マスタ
ーライン
実車カタログのクラウン・
デラックス
トヨペットで当時配った初代クラウンの絵葉書
フロントガラスの区切りや後部フェンダーのモールが
ないことから、クラウン・スタンダードとわかる


アサヒ玩具のロゴ 当時は箱に直接入れるのではなく、薄い紙で包まれていて
いた。初期の赤箱と言われるもの。


2010年6月トミカ・リミテッド・ヴィンテージ・シリーズ 90aと91aにトヨペット・マスターラインが登場
このシリーズ5周年目に入るが、黄昏日本におけるかつての栄光を省みるノスタルジック・シリーズ
と将来評価されそう。後者の91aは救急車、こっちもどういうラインナップとなっていくのだろうか?


参考文献:「国産ミニチュアカー考古学」ネコ・パブリッシング
作成日2004年3月
編集2010年7月