プロテクトギア ケルベロス_地獄の番犬版



プロテクトギアは、もともと押井守監督の初期実写映画『赤い眼鏡(1987年作品)』の中でこれが初めて登場し、その後雑誌連載された原作押井守・作画藤原カムイの漫画『犬狼伝説(当時は未完であった1990年初版)』の中で登場していた。デザインは出渕裕が担当していた。
その後、『犬狼伝説』の映画化ではないが海外ロケを敢行した『Stray Dog ケルベロス_地獄の番犬(1991年)』が撮られ一部でロードショー公開され、その中でプロテクトギアがチョコッと活躍していた。映画パンフには、ケルベロス騒乱後、都々目紅一が国外脱出した黒崎を追う『ケルベロスの島』という脚本が載っていたが、実際に撮られたのは乾が逃亡した紅一を追っかける話になっていた。
『赤い眼鏡』、『地獄の番犬』とも声優の千葉繁(メガネやシゲさんの声の人)が怪演していてテンションの高い演技を見せている。
そのように言えば直ぐに解ると思うが、
押井監督は古くは『うる星やつら』のTVシリーズや劇場版『ビューティフル・ドリーマー』で注目され、その後も「パトレーバー劇場版1,2」と快作アニメを手がけている。
最近作では、「攻殻機動隊」や続編の「イノセンス」があり、今や世界中で注目される監督となってしまった。

このようにアニメでは非常に評価の高い監督だが、実写の作品となると?マークが付いてしまうのは何故でしょう?
長い語りの部分があって作品世界に入っていく手法と緻密に構成された世界観がアニメでは上手く説得的に進行するのに、実写では映像に力があり過ぎて、その世界観が虚構であることを暴露してしまい、すんなりと入ることができないからでしょうか?

私は新宿ピカデリーにロードショーを観に行ったが、前に座っているリーマンに大イビキで寝られたのには参った。劇場パンフの表紙を見れば明らかなようにプロテクトギアが大量に登場するアクション映画と期待して鑑賞すると拍子抜けする内容だしね。
さて、前置きが長くなりました。
「ケルベロス」作品としては?マークですか、劇中でてくるプロテクトギアこと強化装甲服のデザインは素晴らしい。
ドイツ軍テイストと特殊部隊の装備の合体したような外観に、古式銃に近いマウザー・ミリタリーにMG42(漫画の設定ではMG34だが)、敵役はカンプピストルに対戦車弾と、クラシックな銃器類にはマニアックな拘りが感じられる。何かの雑誌に書いてあったが、リボルバーやイングラムのようなGUNは監督自身嫌いなのだとか?だからパトレーバーというロボットにも思い入れが湧かないのだそうだ。

以前からメディコムトイよりプロテクトギアが発売されていた。アニメ『人狼』版と実写版の2種が存在し、今回ドラゴンからも3バージョンが加わった。
暗視装置のような電子眼に発光ギミックが加えられた実写「地獄の番犬」版ノーマルと、トイザラス限定のバトルダメージ・バージョンそしてアニメ「人狼」版(再訓練時の肩に青の帯入りタイプ)とがある。

両社に両方のプロテクトギアがあるとは言え、やはり2次元のアニメより3次元的に無理がない実写版の方に私は迫力があると感じるのだがどうなんでしょう?

StrayDog ケルベロス 地獄の番犬
の映画パンプ表紙
メディコム製
プロテクトギア
ドラゴン製
(バトルダメージ版)
簡単に出来を比較しておこう。

一番の違いは、1/6と言ってもメディコムの方が一回り小さい。頭部のサイズが顕著でドラゴンが立派に見えてしまう。
もっともメディコムのものは、ビルドアップから発売さていた1/6ソフビ・プロテクトギアをバラして素体に組み付けたものだ。そのため通常の可動素体が着ている訳ではないので首周りや手首、膝から下は固定だ。
乾役の藤木義勝の顔は似ていると言っておこう。
ソフビ部分に全体にメタリックグレーのような色が塗られ雰囲気は良い。しかし、私が買ったものは、肩のパッドが左右逆になっていて、修正に往生した。瞬着を使うと見事に白くなってしまうからだ。

逆にドラゴンの頭部は目出し帽(本当は顔全体が露出)の上にマスク、金属製のヘルメットとリアルな装着なのだが、デカ顔なバランスになっているため、折角の金属ヘルメットが小さく感じてしまう。
眼鏡の発光ギミックもこのダメージバージョンに付けた方が階段シーンのあのポーズを取らせられるので、相応しい気がした。
ダメージバージョンは、全体に埃っぽい感じの汚しがかけられている点は、ノーマル・ブラックより雰囲気も良く飾るのにリアルで良いが、弾痕ダメージが焼き針を押し付けたような痕のため安っぽいかも?。

発光ギミック付きプロテクトギアの方は、見てのとおり顔なしでキモいもの。ダメージバージョンは、ヘッドは付いているもののモールドのヘアが目だし帽を被せた時凸凹しているのが少し興醒めだ。そのせいでヘルメットが妙に浮き上がった感じになる。発行ギミック版の方がヘルメットの収まりは良い。

ノーマルの外観は、綺麗なマットブラック仕上げになっていて、劇中乾が使うプロテクトギアと同じく01のナンバーがヘルメットとバックパックに入っている。01ナンバーは、本来都々目のもので劇中乾が奪うのだが体格の違いを吸収するプロテクトギアには笑える。
ダメージバージョンでは、擦れて消えかかった状態になっているところは芸コマ。

発光ギミック付き
プロテクトギア
マスクとヘルメットを
とると・・・
ダメージバージョンのサイド
給排気パイプは樹脂製
メディコム製プロテクトギア
微妙な違いが存在する
乾フェイス サイド写真
給排気パイプはコイルスプリング

当然、後発のドラゴンが全体として良い出来と言えるが、どちらも一長一短だ。
メディコムのは可動出来る範囲が狭く、突っ立った状態で顔も正面に向いたこの状態で飾る以外方法がない。
それに対して、ドラゴンは可動範囲が遥かに大きいが、カチカチとクリックする割に固定が甘く、手の形も中途半端で、材質も柔らかいため銃を構えさせるのが困難だ。ゆえに格好良く飾れないのである。

ただ、ドラゴンに驚かされるのは、武器類が出る毎に進化しMG42のボルトが可動になり引けるようになったことだ。もちろん設定と同じくマウザーとPPKも付属する。特にマウザーはクリップを装着できフル可動になっている驚異のできだが、映画に出てきたタイプではなくマルシンから出ているM712と同タイプだ。
ちなみにメディコムMG42はABS無垢に2脚やチャ−ジング・レバーがホワイトメタル部品になっており、それを塗装して貼り付ける仕様となっている。しかし、真鍮線で補強したり、詰まった銃口をピンバイスであけ直さないと見栄えが悪い。

ナンバーの擦れ具合とノーマルとの違い スプリング内蔵になり稼動部が増えた。

上2挺がドラゴン製MG42
発売当時からバレルチェンジが可能
、金属バレルや金属弾を弾帯に1
発づつ取り付けられる弾帯を付属さ
せたものもあった。
通常は樹脂製のものだったが。

真中がケルベロス版に付いていた
MG42でチャージング.ハンドルも可
動するMG42。

メディコム製MG42
一体構造で可動部は全くなし。
バイポッドや一部部品がホワイト
メタル製となっていた。

弾帯はドラゴン製金属弾付きタイプ
でケルベロスにも付属する。


押井ファンの一人として、あの人の長い語りの部分に耐えられる人は必ず押井ファンになれるだろう。まだ、見てない作品があったらレンタルで見てみましょう!
たぶんセクトとか公安の図式は世代的な面が色濃く滲み出ていて、きっと好き嫌いがハッキリと分かれると思う。
参考文献:『犬狼伝説』 原作:押井守/作画:藤原カムイ 日本出版社
『Stray Dog ケルベロス 地獄の番犬』 映画パンフレット
2003年3月作成
2007年2月追記