
|
ツァイス・イコン ベビー イコンタ
|
今回の題材は我家にあった古いスプリングカメラである。
スプリングカメラというのは、バネの力でカメラの上ブタが開き蛇腹が展開される仕掛のあるカメラのことである。
第二次大戦前から戦後にかけてこの形式のカメラが内外のメーカーによって数多く作られた。
撮影しない時は蛇腹をたたんでコンパクトなケース状にする事が出来るため普及したが、蛇腹の保持する部分にダメージを受けるとピントが狂ってしまう欠点があったので、時代遅れの形式になってしまった。
ところで、そのスプリングカメラというのは、「ツァイス・イコン(Zeiss-ikon)」という会社のもので、豆カメラではないが、スプリングカメラとしては非常に小型なため、私は気に入っている。その名前からドイツ製ということは明らかであった。
戦前の光学機器のトップ・メーカーといえばドイツと決まっていたが、今でもデジカメにライカやツァイスのレンズを組み込んでそれを売りにしている日本メーカーを良く見かける。
ツァイス・イコン社とは、もともとカール・ツァイス財団の子会社であったが、第一次大戦後の混乱を乗り切るため1926年イカ、コンテッサ・ネッテル、エルネマン、ゲルツの4社を合併して出来た当時の世界最大のカメラ会社であった。第二次大戦後は東西に分離されたことにより、同じ名前の会社が2つ出来たという混乱もあった。
というわけで、メーカーは、歴史あるドイツの名門会社のものと直ぐに判った。
とはいっても毎度のことだが、「一体これはどういうものなのか?」調べなければならない。
|
 |
 |
皮部分にikontaの刻印、レンズ部分にZeiss-ikon レンズにCarl Zeiss Jena Nr1350
791 Tessar 1:4.5 F=5cmが誇らしげに刻印されている。 |
 |
 |
スプリングカメラの特徴が良く判る写真、今ではこの形式は廃れてしまったが、スイッチを
押すと上ブタがパコンとバネで開き、蛇腹が展開され撮影可能となる。
ファインダーはあるが、ただの枠のみで構図の参考程度にしかならない。 |
|
まず、このカメラは何という機種で、何時頃のものであろうか。
手がかりは、レンズ部分の刻印、カール・ツァイス・イエナ(Carl Zeiss Jena)、テッサー1:4.5 F=5cm、コンパー(COMPUR)、ボディ皮部分の520/18の文字である。
ツァイス・イコン 520/18で検索したら、このカメラの大体の概要が判明した。
「通称ベビー・イコンタ」と言われるカメラで正式には「イコンタ 520/18」と言うらしい。520/18はカメラの形式名なのだろう。
そのものズバリのデータではなかったが、ベビーイコンタの中で、テッサー5cmF3.5のレンズで、コンパーのシャッター付きが最高級品であると載っていた。我家のベビーは、シャッターはコンパーであったが、テッサー5cmF4.5のレンズ付きという訳でその下の製品ということになる。
レンズは明るい方が高級なのである。
発売年は、1932年(昭和7年)とか1936年(昭和11年)とかあり、定かではないが、おそらく戦前のものと言って間違いない。骨董品の部類に入るカメラだが、シャッターは今でもかなりシッカリと作動する。戦後の日本製スプリングカメラでは、渋い動きでオーバーホールなしでまともに使用できそうなものを余り見たことがない。
流石ドイツ製。 |
 |
Beby-ikontaの裏ブタを開けたところ、フィルムが装填されたままだ。
|
|
現在のカメラと違ってフィルムも35mmではなく、127ベスト版(3×4cm)という当時の普及サイズのフィルムを使用するらしい。しかし、現在では極少量海外で生産されているだけなので入手困難品のようだ。
作動が確かなだけに一度撮影に使ってみたい気もするが、やっぱり飾っておく方が良いみたいだ。 |
 |
 |
裏ブタに520/18の刻印、ベビーイコンタ
の形式名らしい。 |
サイズの比較、食玩世界の艦船サブマリン707
ジュニアとのサイズ比較、スプリング・カメラの系統
ではかなり小型なもので、可愛らしい。 |
|
作成日2005年3月 |

|