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豆カメラ スナッピー(Snappy)
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古くから日本は小型、軽量(軽薄短小)の良品を作らせたら右に出るものはない。今でも世界一と言って間違いないだろう。
我家にも豆カメラと呼ばれるミニチュア・カメラがあった。その愛称を「スナッピー(Snappy)」という。
ミニチュアなら何でも興味のある私だがカメラは一番門外漢だ。それでも、まるでオマケのような小さなカメラは別だ。見ているだけでその愛らしさに魅入られてしまう。
昔の人形用アクセサリーにもカメラはあるが、実際に写真撮影可能なミニミニなカメラも大好きになってしまった。
さて、このスナッピーは、新品状態で残っていたものであるが、どういうものなのか調べなければならない。
まず、何時頃のものか?
手がかりはカメラの裏ブタの皮部分に刻印された「MEDE IN OCCUPIED JAPAN」の文字だろう。
意味するところは、占領下の日本で作られたモノという訳で軽く50年以上前のものと判った。
1945年8月15日第2次世界大戦(太平洋戦争)は終結し、日本はアメリカの占領下に置かれ1955年のサンフランシスコ講和条約に調印するまでの間、日本は敗戦国として独立国家ではなかった。そして、昭和21年〜27年7月(1946年〜1952年)の間、日本で作られる工業製品(輸出品)にこの表記が義務づけられていたらしい。
箱のデザインを見ても輸出品、特にアメリカ向けのモノであったらしく全て英語表記になっている。
とはいえ、説明書は日本語なので一部は国内向けにも売られていたのだろう。
当時を知る人の話によると、瓦礫と化した日本では米軍の横流し品や日常品を闇市で買い求め何とかその日を一般庶民は生き抜いていたそうだ。
そんな中、カメラなど超高級品であり、豆カメラのような実用品というより大人のおもちゃのようなモノを買い求めることが出来るのは一部の余裕のある者だけだったと推察される。
もちろん私の家にあるのは頂いたものだからあるだけです。それにカメラというのは、古くなっても捨てたりしないため現存率が高く、古いカメラであっても一部の人気高級機を除いて常識的な値段で入手可能なのが有難い。 |
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スナッピ-本体正面(写真の表示されている
サイズより一回り小さい)
カメラのジャンルでは豆カメラといわれるミニ
カメラである。 |
「MEDE IN OCCUPIED JAPAN」の刻印
裏ブタの赤い窓はフィルムの送りを確認する
ためのもの。 |
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次に、説明書や箱、本体にメーカー表示が入っていないが、Snappyは何処の製品なのか?
スナッピーで検索したら、小西六写真工業株式会社、現在の「コニカ・ミノルタ」の製品と判明した。
コニカ・ミノルタのHPで実物写真はなかったが記述のみ載っていた。
1940年代に発売された機種一覧というところで「1949年8月スナッピー 2枚羽シャッターの豆カメラ」というもの。そうするとこの豆カメラは56年前のコニカ・ミノルタの製品ということになる。
余談ですが、一字違いで「SNAPY」というカメラがあり製造元・大真精機株式会社、発売元・株式会社キング商会といのもありました。
うーん、ちょっと歴史を感じる一瞬であった。
スナッピーのスペックは、以下のようなものだ(説明書より抜粋)。
レ ン ズ オプターF1:3.5 25粍
絞 り アイリス絞りF3.5-16
シ ャ ッ タ ー B、1/25、1/50、1/100
シャッターレリーズ ボディータイプ
アイレベル、オプチカル、ヴューフアインダー
フ ィ ル ム 14×14粍 10枚撮り
重 量 100瓦
今ではデジタルカメラが全盛でフィルムを使うカメラは一部マニアの趣味になってしまった。
それでもちょっと前まで35mmのフィルムを使うのが一般的で、古い2眼レフカメラに多かった6×6版という大版のがあったが、このスナッピーに使うフィルムは特殊で14×14mmという今ではフィルムを加工して作る以外に使用フィルムは生産されていない。
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スナッピ-の裏ブタを開いたところ、小さくともカメラとしてのシャッター・スピード4段階、
絞りも全て備えており、「おもちゃ」ではない。
ズッシリとした重量感は安っぽさを少しも感じさせない。
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スナッピー専用の14×14フ
ィルムの箱の4面とフィルム。
左にはSAKURA、右には6R
OLLSとあった。 |
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スナッピー用のアクセサリーとして説明書に出ているもの。
1、専用のフィルターとフード(フードにソリッド・フィルターを組み込むタイプ)
2、クローズアップ用レンズ 焦点距離 1米
3、スナッピー用の優秀な望遠レンズが用意されている。
4、ベビー三脚
5、皮ケース
6、スナッピー用 さくらフィルム
望遠レンズにはちょっと驚かされる。どんな風に写るんのだろうか?
ベビー三脚というのも見てみたいけど、専用ではないかもしれない。
使用フィルム「さくら」フィルムというのが、小西六写真工業株式会社製という唯一の表示かも。
一際「さくら」の文字が大きく印刷されている。
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スナッピ-の皮ケースとスナッピ-の変形6角形の箱、カメラの箱という
感じのものではない。サイズ比較のためアフタヌーン付録のベルダン
ディー・フィギュアと比べるとこんなに小さい。 |
箱の反対側 |
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説明書といっても簡単なもの |
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参考 http://ca.konicaminolta.jp/oldnew/konica/1940/list.html#anchorPagetop |
作成日2005年2月
2007年1月スナッピー専用フィルムの写真追加 |

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