タミヤRC バギーチャンプ
1979年)



最近気が付いたのだが、巷ではかつてのタミヤ製電動ラジコンが静かなブームとなっている。
オクでもそこそこいい値段で取引されているのを見て、ちょっと驚いたぐらい。
数年前には「GEOGIA.オリジナル バギータイプRCカー 1/10スケール ミニチュアモデル」や最近の1/6スケール「タミヤRCバギーコレクション」という“おまけ”の世界にも登場してきている。両者タミヤ監修となっており前者は?な出来だったが、後者は細部まで塗り分けられた立派なスケールモデルで、仕上げはデカールではなく御丁寧にステッカーというオリジナル顔負けの仕様だった。
良く考えてみれば「タミヤRC30年間の全記録」などの出版物も既に出ているためか、当時憧れていたり、実際遊んでいた人は懐かしく思う年月が経過してしまったことが伺える。

上記の本によるとタミヤのRCの歴史は1974年のシャーマン戦車からはじまるらしいが、1976年のポルシェターボRSR934レーシングや6輪車のタイレルP34は良く覚えている。当時原宿表参道に「さくらホビー」という今はなき模型屋さんがあってそこのウィンドを眺めていた口だった。当時はエンジン付きのラジコンなんて高嶺の花で手も出せなかった。この店は現在の南国酒家という中華料理屋さんの入口前、通りの反対側にあった。もっとも、当時は中華屋さんの入口はもっと駅側の歩道橋の方にあり、そこはオリンピアというスーパーの入口だった。

私が最初にタミヤのラジコンを動かしたのは友人のフェラーリ313T3だった。
しかし、電動とはいえヒゥーンと急加速する車のコントロールは難しく見事にクラッシュさせたのを覚えている。
今では言っても信じてもらえないが当時は代々木公園の前の広場は何時でもほとんど人はいなかったからラジコンを走らせていてもギャラリーが出来るわけでもなく、危ないと注意する人もいなっかたのである。
もう取り壊されたパレ・フランス(73年)やラフォーレ(78年)だって出来立てホヤホヤの時代である。この頃から急速に今のような原宿になっていったのだ。

前方がGEOGIAのおまけのバギーチャンプ、全部で10種+シークレットだそうだ。
缶のキャップにダートのシールを貼って飾るようになっていた。
後方の2台がバギーコレクションのバギーチャンプ、赤がノーマル、青がカスタム
カラーで、他にクリアバージョンがあり1車種につき3バリエーションがある。
そして全5種+シークレットの構成になっている。
因みにシークレットもバギーチャンプで台座が違ったり、ホワイトレター入りタイヤと
か微妙に異なっているらしい。

分解することが可能で中まで細かく出来ていて、バッテリーにもステッカーを貼るようになっていた。
ステッカーを貼るとき、接着面に水を付けてから貼ると多少修正がきくみたい。
ピアノ線でアンテナが用意されていたら完成度が更に上がったと思われる出来だ。

そんな中オフロードを走れるバギーチャンプが1979年11月に登場し、それに続き姉妹車のワーゲン・オフローダー(バハ・バグ)も翌月発売になり、例の友人とどっちを買うかという話になった。私は何故かバギーチャンプということになってお年玉を供出するはめになったのである。
実際組み立ててみるとアルミダイキャストの足回りやモーターとギアケースのせいで非常に重く本当に電動で走るのかと懐疑的になるほどだった(上記本では2.1kgとあった)。しかし、オイルダンパー付きのサスペンションのおかげかグラウンドのなかを縦横無尽に土煙をあげながら走る様やジャンプもこなす興奮モデルであったのだ。
オイルダンパーといっても直ぐにオイルが抜けたりして、強力なものではなかった。
当時これにハマッタ人は多いんじゃないかな?タミヤRCオフローダーにはXR311コンバットバギーというミリタリー系のバギーが既にあったが、ダートを実際走らせるのは困難だったから、密閉メカボックスでダンパー付きサスペンションの派手なレーシングカーのこちらに飛びついたという感じだった。

バギーチャンプについて書く気になったのは、もちろん当時のバギーチャンプが出てきたからである。
物置の奥で眠りについていたこれを発見したときは埃だらけで処分しようかと思うほどだったが、ボディを洗ったら結構当時のまま綺麗になったではないか?
さすがにゴム類は劣化していたが原型は保っていた。

というわけでここからは本物の登場だ。
本物は1/10スケールだが、それを更1/6サイズにしたのがタミヤRCコレクション。この小さなバギーチャンプ、同サイズの写真で並べてみても余り見劣りしないところが凄い。
タミヤRCバギーコレクションのシークレットは、タミヤのHP(http://www.tamiya.com/japan/products/buggycollection07/index.htm)に載っているが、何故かバギーチャンプの仕様違い。どうせならワーゲン・オフローダーの方が盛り上がったのと違うだろうか?

防水加工のメカデッキもそれらしくなっているし、裏から見たときの造詣もそのものという感じだ。
但し、黄色っぽいFPのシャ−シーやフロントバンパーのベージュ色は後期のタイプだろう。
初期タイプとは色が異なっている。違うところを探せば、ドライバーがメカデッキに付いていることと、
後輪の+キャンバー(後ろから見てV字型に見える)になっていないタイヤの角度が少し気になる程度。

ワーゲン・オフローダーとは、タイヤのパターンが異なる以外中身はほぼ同じだから、走行フィーリングも同じなのだが、バハ・バグの愛嬌のあるフェイスやスタイリングにはかなわない。オクでもワーゲンの方がひときわ高い値段で取引されるのも判らないではない。
こうして見てみると、バギーチャンプは当時でも18000円もしたんだと、改めて物価の違いを感じずにはいられない。
日本は未だにデフレから脱却出来ず、30年弱たっても現在のものより高かったんだなと思うこの頃である。

指定の塗装が気に入らなくてこんな風にしてあったので、イメージがちょっと違うでしょ。
オリジナルの塗装も今見ると悪くはないと思ったが、当時は地味に思えた。ライト類も転倒即バラバラと思われ、こんなところに
移植していたのね。付いているところを見ると有効だったということ。
ワーゲン・オフロダーのマフラーも後ろが寂しかったんで付けたんだろうね。排気管の先端ラッパ部分は確かテスト走行1発でな
くなった覚えがある。

ボディを外すとこんな感じだ。簡易防水のメカデッキのおかげか中も綺麗なままだ。単3の電池ボックスは
死んでいるし、充電器はどっか行っちゃったので動くか確かめようもないが、レストアベースには充分なりそう。
2速スピードコントローラーやこの形のニッカド懐かしいでしょ。
2Chプロポはジュニア・ジープ、今でもあるのかな?
タミヤもさすがに旧式のまま復刻は困難とみえ、タムテック・ギアで名前とスタイルが復活するそうだ。
いじっていると、また、走らせて見たいという気持ちにさせる!

参考文献:「タミヤRC30年間の全記録」学習研究社
作成日2007年9月

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