日本でのGIジョーの系譜 その1



バービーもそうですが、GIジョーも日本で製造されていたにもかかわらず、日本で正式に発売されたのは、本国より遅れて発売されたようです。書物では、GIジョー発売は、1964年となっています。






1966年

1966年7月の三栄貿易の新製品告示 GIジョー
Action Soldier
グリーンベレー

告では、1966年7月にタミ−等を扱っていた三栄貿易よりハスブロ社のGIジョーの発売開始予告が日本向けに出されました。

こちらのほうは、ヘッドがハードプラスチックでリアルな顔と精密な小物とで話題になりました。

1968年までは、三栄貿易のGIジョーの広告はありますが、その後見なくなります。





1969年

リカちゃん人形で大成功をおさめていたタカラは、1969年後半頃に版権を取得し日本国内でGIジョーを売り始めました。

左の広告は、69年12月のタカラのGIジョーのものです。

最初はハードプラ・ヘッドのGIジョーを扱っていたようです。

野戦服や小物の銃器類は、ハスブロのものと全く同じで、日本製のものと台湾製のものがあります。





1970年


1970年6月のニューGIジョー
新発売予告です。
ニューGIジョー野戦
コート着用
厚手の生地タイプ
1970年11月ひげのGIジョーの
発売広告

リカちゃんトリオのスタッフにより70’6月下旬、ニューGIジョーという形で、独自のヘッドとボディの人形を出しました。ニューGIジョーの野戦コートについては、厚手の生地でタグ付きのものとタグなしの薄手の生地のものと二種類あります。

リカスタッフが手がけているからか、わたるくんが大人になったような顔をしています。そのため俗にわたるくん顔のGIジョーと言われ、男の子には頬に傷のある元祖GIジョーの方を好んだようで人気は今一でした。

それでも、発売時からレスリングとボクシングがラインナップされていてリカちゃんと相関関係のある戦略が見て取れて面白いです。

また、70年という年は、初代リカちゃんも着せ替え人形の女王として君臨しはじめる年で、リカちゃんがメイン商品であることは変わりありませんが、ニューGIジョーとレディリカが新製品として投入されタカラも全力投球する内容の広告がこの年次々出されます。

広告から推測すると、男向け人形は売れないとか、戦争ものは教育上よろしくないとかの業界関係者・大人の常識からか歓迎ムードではなかったようです。

ここには、掲載していませんが、広告のタイトルが、「反対を押し切ったタカラのゲバ」とか「なぜGIジョーは売れるのか」とか、可鍛に新しい需要を創出しようとするチャレンジが感じられます。

上右広告のようにニューGIジョーにも本家同様ひげのジョーが発売されます。耐水性のフロッキー加工がなされたものです。





1971年

71年になると、ミリタリーだけではなく、もともとあったレスリング・ボクシングに加えて柔道と野球が加わり、GIジョーのスポーツシリーズというのがラインナップされます。かなりユニークで私も欲しいですね。リカスタッフならではのラインのような気がします。

さらに、夏の時期特に人形は端境期で売れなかったので、それを打破すべく水ものの要素が入ったアクアラングと水中スクーター発売されます。

この年、ピチピチリカも発売され、やはりアクアラングがありました!

左広告は、71年3月のものです。

ここまで、見てきて1つ気づきませんか?ニュー○○というやり方、リカちゃんも72年にニューリカちゃんにリニューアルされます。タカラでは、既にニューGIジョーで1回やっていたことになります。

下記のNo2カタログの前のカタログにもアクアラングは発売予告としてでています。
このカタログでは「GIジョーはスポーツ万能だ。ボクシング・レスリング・水泳、体をきたえるために、なんでもやる。レスリングでは飛びげりが特技だ。一番すきなのはアクアラングをつけての潜水。任務でも役立つ特技だ。」と出ています。
No2のカタログでは柔道と野球が加わった内容になり、スポーツ刈り柔道とスポーツ刈り野球という人形セットが載っており、ペイントヘッドではないようです。

71年8月
ニューGIジョーの敵役としてドイツ兵とドイツ将校が広告に発表、そして発売されます。まず、ドイツ兵(歩兵)と将校(国防軍)の二種類が発売され、国際見本市おもちゃコンクールではドイツ将校が金賞・部門賞を受賞し話題にもなりました。ドイツ兵の顔はモールドを変えられニューGIジョーとは異なったものになっていて、子供たちの敵役要望が強かったことから登場したものらしいです。


ドイツ親衛隊 ドイツ戦車兵 ドイツ兵の外箱(カギ十字のデザイン)

カラが出したドイツ兵のバリエーションは、@ドイツ兵(No7720)、Aドイツ将校(No7721)、Bドイツ親衛隊(No7722)、Cドイツ戦車兵(No7723)の4種類(各1800円)です。

将校と親衛隊の服はタカラ独自のデザインと思われ、今見ても格好の良い将校服になっています。当時イギリスのアクションマンの服も使われていたようなので、調べてみると面白いかもしれません。

武器は、P08とMP40が附属しています。たぶんドイツ兵にはソノシートは添付されていないと思います。

親衛隊(ゲシュタポ)は、おそらく世界で初めてアクション・ドールとして製品化されたものと考えられ、細部はおかしな点が多々ありますが、資料の少ない時代に作られたものとして希少価値があるでしょう。



上側写真 ドイツ親衛隊1800円とドイツ軍戦車
2000円の広告がでている


ドイツ兵とニューGIジョーとのモールドの違い
1971年ドイツ軍の4種類のライン
全てが出ている広告
外箱の写真からもわかるようにナチスのカギ十字が沢山デザインされたもので、現在では通用しないものです。

ドイツ軍と同時に秘密基地(当時2500円)も発売になり、男の子玩具にもハウスのゴッコ遊びが導入されました。この年の年末商戦向けにドイツ親衛隊とドイツ軍戦車(5号突撃戦車のスタイル−当時2000円)の広告が11月発表され戦車に合わせて最後に戦車兵も加わったと考えられます。なお、12月の広告に戦車兵の広告もありました。

下写真はドイツ兵に付いていたニューGIジョーNo2のカタログとドイツ軍の付属シールと米軍の付属シールです。






1972年

1971年年末から前述のドイツ軍戦車に加えウルトラ警備隊、ウルトラセブンの広告が
出されました。
タカラのGIジョーも変容しだし、今までのミリタリー路線から、変身という
要素が入ってきます。
上記No2のカタログにもウルトラマンとマット隊員は載っていましたが、72年2月には
それらに加えシルバー仮面とミラーマンの広告が出され、更に月光仮面の名も出て
いました(当時各1500円)。
上左広告は、1972年3月正義の味方シリーズの新製品情報です。結局ライン
としては7種類、シルバー仮面・ウルトラセブン・ウルトラマン・ミラーマン・ウルトラ警
備隊・マット隊員・月光仮面が出ていて、さらに、近日変身忍者”嵐”が登場となって
います。


5月になると突然変身サイボーグ1号の新発売広告が出て、変身セット、サイボーグ
セットという独自の遊び、即ち正義の味方シリーズを一歩進めてサイボーグが好きなヒ
ーローや強力武器を取り付けることで強化変身するという方向となりミリタリー路線は
転換されました。
仮面を付ける形になるため顔は必要なく、コスト的にもメリットがあったものと思われ
ます。
ニュー正義の味方シリーズのラインはウルトラマン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラ
セブン、ウルトラマンエース、シルバー仮面、ミラーマンの6種類となり、ユニフォームを
脱ぐと変身サイボーグ1号が出てきて各1300円と買い求めやすい値段設定になって
いました。
変身セットも変身忍者“嵐”以外にマット隊員、ゾフィー、ウルトラ警備隊、月光仮面な
ど次々追加される旨広告されていました(セット450円より)。

ドイツ兵の中でも親衛隊・戦車兵と同様ですが、ニューGIジョーの正義の味方シリーズ
も非常に短期間にそれも矢継ぎ早に発売されたため今ではレアものとなっているよう
です。

このように見てくると少なくとも日本において現在のアクションドールの基礎を形作った
のはタカラであることがよくわかります。 なお、タカラのミリタリー&ポリス系のアクショ
ン・フィギュアは80年代のコンバット・ジョーまで暫くお休みとなります。

また、変身というアイデアは、リカちゃんの友達パットちゃんへと引き継がれていると思
います。

今回は、この辺までとしますが、資料がまとまった段階でこの続きは完成させたいと考
えています。







2002年2月5日作成
2003年1月編集加筆
2007年6月追記