初代 リカちゃん の靴の話




少し古い人形を見に行くと、裸で売られていたり、服は着ていても靴はないということがよくあります。
逆に小物類だけが売られていたりして、靴が大量にあるという場合もあります。
その中にはいろいろな人形の靴が混ざっていて昔からこれは何だろうということになり、区別が問題になります。
靴の問題は、私自身もまだ明確なことは言えないのですが、発想を逆転して考えることで、事の真相に近づけると思っています。

靴に関して最初の手がかりは、商品添付のブックレットです。これが最も身近な確実な手がかりです。
そして、まず、スタンダードな一般的な靴を明らかにすることです。
スタンダードな一般的な靴とは、ブックレットで確認でき標準として発売された靴を指します。
そのスタンダードな靴以外のものがレアな靴や特別な靴ということになると思います。
最後に、未使用新品のミント品で確認するということです。

但し、ブックレットに載っているものは売られた可能性が高くても現物を見つけない限り必ず存在するとは言えません。
服・小物・グッズ類の場合にも同じ事が言えますが、ブックレットや広告だけでは全然足りません。ブックレットやカタログ落ちのものがかなりあるばかりでなく、消費者向けの広告は商品の整理のため出されたものではありませんから参考にしかならないからです。

このコラムでは、一般的なスタンダードの靴について書いてみます。

最初に、初期のローヒールについて述べておきます。
67年から68年にかけて、あるいは67年の出荷分について初期のローヒールの靴が人形に履かせられていたと考えています。
この靴には、レッドとホワイトの2種類があり、今までに何度もこのローヒールをジャンク品の中で見たことがあるので、初期の靴というだけで、レアな靴ではないでしょう。
また、このローヒールは、おそらく商品展開上格好が悪いので、女の子の憧れのハイヒールに変えられたのだと思います。
材質の硬い小さ目のハイヒールが徐々に人形セットや服セットに付けられるようになったと考えています。
この材質の硬いハイヒールには、レッド、ホワイト、ブルーの3色あり(イエローとピンクのこの材質のものは見たことがないので、間違っていたら指摘して下さい)初代全般に渡って使われていたと見ています。
71年のレセプションもホワイトのこのハイヒールが付いています。

靴セットに入っている柔らかいゴム質の
5色のハイヒール、2色のブーツ(中期まで)と草履です。
左より初期のローヒール、柔ら
かいゴム質のハイヒール、硬い
材質の小さ目のハイヒール
ホワイト、オレンジ、濃い目
のオレンジ、レッドのブーツ


比較的後期の頃、服セットや人形セットにイエローのブーツがセットされていた。
特別この服にとは決まりはなかったようだが、リンダ氏のところにあるロンドや職業案内シリーズ等散見されます。

それでもブーツの中ではレアなものと言えそうです。
そして、67年末に上写真の靴セット(当時180円)が発売になり、このセットは、柔らかいゴム質のハイヒールでした。
このセットでは、初めからローヒールはオミットされている点から見ても不評だったものと思われます。
以前にも書きましたが、この靴セットの靴は、実際に初代に履かせることができますが、材質の硬いハイヒールは初代に履かせるには小さくて困難です。
そして、25周年復刻の靴は初代にピッタリで、材質の硬い小さ目の靴は復刻版リカちゃんにピッタリです。

次に、この靴セットのブーツや草履について少し言及しておきます。
ちょうど67年末から、タカラではリカちゃんのミニミニシリーズに力を入れていましたから、このシリーズ用にブーツが履かされるようになります。カタログで見るとホワイト・レッド・ピンクのカラー・バリエーションが確認できます。
印刷のためか判然としませんが、オレンジはないようです。
靴セットでは、初期の頃はオレンジとピンクの2色がセットされたようで、後期になるとホワイト等の他色が1種類だけセットされたようです。
また、オレンジには、黄色の強いオレンジと赤の強いオレンジがあり、生産時期によって多少の色の違いがあるように思います。
そして、67年末は、リカちゃんの和装として着物、日本間L2型が発売されましたから、靴セットにも黒と赤の草履もセットされました。これは後期になっても維持されたようです。

では、レアな靴やレアなカラーバリエーションはあるのでしょうか?
ブーツに関してブックレットから言えることは、「ミニミニロック」の銀色のブーツや「ラブ」の黄色のブーツです。前者は1種類だけわざわざ作ったとも思えないので、撮影用かもしれません。後者はジャンク品で見たことがありますが実際にミント品にセットされていたかは不明です。

それから、リンダさんのHPに出ているリボンの型押し風ローヒールについて、まだ、可能性の話ですが私見を述べておきます。
オクラホマキッドの出ているブックレットでは、他にもダニーボーイ、ブロンクス、ウェストポイント、ペチカ、スラローム、グリ二ッチビレッジ等のハイソックスのものがあり、これらは靴を履かされていません。
雑誌のカラー広告を見てもやはり靴は履いていません。
意味じくもリンダさんが言ったように「この上からはハイヒールは履けない」と。
そこで、リボンの型押し風ローヒールがハイソックスの人形用に新たにセットされたのかもしれません。
写真で見る限りこの靴でもハイソックスの上からはきつそうです。
さらに、次シーズンのブックレットの「純愛」「たんぽぽ」のハイソックスの人形には、ローファーが履かされています。
これは、また別の靴と思われます。
この点を重視するとリボンの型押し風ローヒールをハイソックス用に作ったが、きつくて失敗だったためハイソックスの上からでも履かせることができるローファーが作られたと推理できないでしょうか?
このローファーには、茶・白・赤のカラーバリエーションが確認出来ます。

これが、正しいとするならば、ローファーは後期のスタンダードな一般的な靴の可能性が高くなります。
リボンの型押し風ローヒールは、過渡期ないし失敗作のレアな靴ということになるのでしょう。

純愛の靴 講談社のカラー広告プロボウラーの
変な靴
婦人警官
の靴

初期のローヒールについては、おかげさまでミント品で確認されたため、一般的な初期のスタンダードの靴ということになりました。

以上を前提にしてブックレットを基準にしたスタンダードな一般的な靴をまとめてみると、初期のローヒール(赤・白)、材質の硬い小さ目のハイヒール(赤・白・青)、靴セットの柔らかいゴム質のハイヒール(赤・白・青・黄・ピンク)、ブーツ(赤・白・オレンジ・ピンク)、草履(赤・黒)、後期のハイソックス用ローファー(赤・白・茶ーこれは可能性ですが・・・)があることになります。
ブーツの黄色はレアカラーとなります。

そして、これ以外の靴が、ブックレットから確認できないレアな靴であり、リボンの型押し風ローヒールは、ハイソックス用に71年に作られた難ありの靴ということになります。
その他にも、ユニフォームシリーズ(皆さんご存知の雑誌のカラー広告を見るとプロボウラーは別の変な靴を履き、一緒に写っている婦人警官も別のローファーらしき靴を履いています)等のまだ知られていない靴があると思います。

チャッピーもローファーを履いているとか、どのタイプなんでしょう?
今後さらにどれだけ増えるのでしょうか?
ミント品で、ここで指摘した以外の靴や、後期のローファーについてご存知の方は宜しくお願いいたします。



製作日2001年8月30日
2003年2月編集加筆
2004年12月追記