お人形集めをしていると目的外の人形というのが自然に増えてきます。
そんななか大抵の場合は、何らかの資料に名前と簡単なプロフィールは載っていて最低限の情報は得られるものです。
ところが、未だに簡単なプロフィールさえわからない人形があります。
まずは、下写真を見て下さい。メーカーはアイディアル製です。 |
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謎の人形
ペパーのタグの付いたニットの服 |
Patti |
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この子はいったい誰なんでしょう?
5年ほど前今も私が最も見識のあると思っているある人形研究家の方にお尋ねしたところ、この子のヘッドモールドはタミーの妹ペパーのお友達のパッティにそっくりだと言われました。
そして、「Pattiという人形は、モンゴメリーワード限定で1965−66にかけて売られたアメリカでもレアな人形であり、日本では売られたことはないはず。ひょっとしたら日本仕様かもしれない。」と教わりました。
しかし、よくよく写真を見てみると、話は単純ではありません。首のつき方が違うではありませんか(上写真黄矢印の部分)。
パッティは、ペパーの初期のスタンダードと同じようにボディに首を差し込むタイプです。
また、あまり日本では語られていないようですが、ペパーにもニューペパーという小顔でリカちゃんのように首の部分がボディの方にあるタイプがあります。
このタイプも日本で流通していたようで(日本のカタログでも確認できるし現物も所有)、このボディとこの謎の人形は同じボディタイプを使っています。
そして、この謎の人形の顔を見て下さい。目線はスキッパーの日本仕様のように左になっています。
目線左というのは一部の人形を除いて日本仕様のルールかのようです。
さらに、この謎の人形のヘッドには、タミーやペパーと同じようにアイディアルの刻印が入っています。
ですから、他の人形の首が付いているわけではありません。
因みに、刻印は頭の後ろに1964 IDEAL TOY CORP. P9−W、ボディの後ろに1964 IDEAL MADE IN JAPANと入っています。
そして、懐かしの玩具ショップでも1度だけ売られているのを見たことがあるので、こういう人形があるのだと思います。
タミーに関する日本の書籍をみますと、以下のようなことが書かれています。
即ち、「日本では、タミーの本国で売られたような家族や友達は、ペパーを除いて売られていなかった。」と。
もし、この謎の人形がペパーの日本のお友達だとすると、このような書籍の記述は訂正されなければなりません。
仮に日本仕様だとしても、パッティの単純な焼き直しではなさそうなので、複雑な事情が背後にありそうです。
皆さんもここまでの状況証拠を見て、ペパーの日本のお友達ではないかという私の疑問が御理解いただけたと思います。
どなたか、情報をお持ちの方は、宜しくお願いいたします。
なお、この謎の人形については、今後Yuさんと共同探求することになりましたので、もしアメリカのマニアの方で何かの資料を御存知でしたらYuさんの方へ一報を入れて下さい。
In collaboration with Yu, we research about this doll of a mystery.
If the information about this doll is known in the United States, please
put it into Yu.
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参考文献 Cindy Sabulin & Susan Weglewski Collector's Gaide to tammy
中村双葉 リカちゃんと昭和のファッションドールたち
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