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◆ 頸部リンパ腺腫・甲状腺腫について
◆頸部リンパ腺腫・甲状腺腫に使用する、漢方処方として十六味流気飲(じゅうろくみりゅうきいん)、紫根牡蠣湯(しこんぼれいとう)が知られています。この処方について説明しましょう。 |
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◆ 頸部リンパ腺腫・甲状腺腫
千金内托散(せんきんないたくさん)
紫根牡蠣湯(しこんぼれいとう)
@千金内托散:「解説」(万病回春)
気の鬱滞におって起こった腫塊を治すもので、病名のはっきりしない頑固な腫れ物に用いてときに奇効を奏することがある。
本方は主として乳腺症およびその類似症、甲状腺腫・頸部淋巴腺腫:頑固な皮膚病などに応用される。また慢性の眼疾患で、疼痛を訴え目星の出たもの、すなわち結膜、角膜フリクテンや、眼がしらや鼻から膿の出る涙のう炎、その他の虚弱者の疝気、気鬱症、打撲後の痛み、むちうち症、五十肩などに応用される。
千金内托散加減:「構成」
当帰(とうき):川窮(せんきゅう):芍薬(しゃくやく):人参(にんじん):桔梗(ききょう):桂皮(けいひ):白止(びゃくし):黄耆(おおぎ):厚朴(こうぼく):枳穀(きこく):防風(ぼうふう):蘇葉(そよう):甘草(かんぞう): |
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A紫根牡蠣湯:「解説」(黴癘新書)
本方は水戸西山公の蔵方であると伝えられている。黴癘新書に、「楊梅瘡毒、痼疾沈痾、無名頑瘡、及ビ痒瘡痾嶮悪ノ症ヲ治ス」とあり、勿誤方函口訣には、 「此ノ方ハ水戸西山公ノ蔵方ニシテ、楊梅瘡(梅毒)其ノ他無名ノ悪瘡ニ効アリ。工藤球郷ハ痔痛痘疹ニ宜ク、又乳岩・肺癰・ 腸癰ヲ治スト云フ。悉シキコトハ西山公秘録ニ見エタリ」とある。乳房・乳腺症・甲状腺腫、舌・鼻咽頭・頸部リンパ・肺壊疽・黒肉・梅毒性皮膚疾患・ゴム腫・扁平コンジローム等にて諸治療の効なきものに応用する
紫根牡蠣湯「構成」
当帰(とうき):牡蠣(ぼれい):新疆紫根(しんきょうしこん):芍薬(しゃくやく):川窮(せんきゅう):黄耆(おおぎ):忍冬(にんどう):升麻(しょうま):甘草(かんぞう):大黄(だいおう): |
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<参考になる処方名>
下に示した表は、漢方薬をわかりやすく、すぐに役立つように専門的な術語を用いずに、出来るだけやさしく砕いて書いたものです。
「訴え」は誰でも大体共通していますから、それを「確かめる点」で細別して処方を当てはめてゆきます。「狙い所」は漢方的な目の付け所を摘要したものです。
処方の配列は上から下に向かって大体実証から虚証へ、熱証から寒証への順序になっています。 |
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訴え |
確かめる点 |
狙い所 |
処方 |
リンパ腺が腫れ,凝り
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頸又は腋の下のリンパ腺炎 |
頭痛や寒気がする |
表熱、脉浮緊 |
葛根湯 |
熱にふけさめがあり食欲がない |
往来寒熱、胸脇苦満 |
小柴胡湯 |
化膿して来てしこりが強いが他に容態はない |
局所浸潤 |
排膿散 |
リンパ腺炎
甲状腺の腫れ、 |
局所の熱感が強い 腫れ痛み赤味も強い |
実証、脉緊 |
大黄牡丹湯 |
局所の訴えだけで他に容態はない |
局所浸潤 |
千金内托散、
紫根牡蠣湯 |
参考 |
小柴胡湯加桔梗石膏、柴胡桂枝湯、白虎湯、排膿湯、黄耆建中湯、十味敗毒湯、千金内托散、十全大補湯、紫根牡蠣湯、紫雲膏、中黄膏、 楊柏散、伯州散、 |
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・・・・上記の処方は、選択しえる参考漢方処方です・・・・
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