定年後の健康管理

この物忘れは歳のせい? それとも認知症?  冷蔵庫の前まで来て、「あれ、何を取りにきたんだっけ」という経験はありませんか。
テレビに出ている歌手を見て、「何ていう名前だったかな」と思うことが増えていませんか。
そういうときに思わず出てしまうのが「いよいよ、ボケたかな」という言葉。
 同じ物忘れでも、社会生活に影響しないときは単なる老化ですが、仕事や家事に支障が出てくると、もはや老化ではなくれっきとした病気=認知症と診断されます。
 日常生活上の変化を見て、それを歳のせいなのか、認知症なのかを判断するのは難しいものですが、例えば、物を収納したことは覚えているけれども、その場所を思い出せないというのは老化による物忘れ、収納したこと自体を忘れてしまうと認知症の疑いがあります。
 認知症は大きく、原因不明の「アルツハイマー型認知症」と脳梗塞などの脳血管障害により発症する「脳血管性認知症」に分かれます。
 脳血管性認知症は脳血管障害の種類や部位によって出る症状が異なります。
 アルツハイマー型認知症は、通常、食事をしたことを忘れたり、道に迷って家に帰れなくなるなどの症状が出て、やがては尿や便の失禁が普通となり、寝たきりという経過をたどります。
社会と積極的に関わって認知症を防止
 脳血管性認知症は、その原因となる脳梗塞などの予防を心がければ、ある程度防ぐことができます。一方、アルツハイマー型は的確な予防法はありませんが、社会的なつながりがない、閉じこもり、知的活動をあまりしないなどのライフスタイルの人は発症しやすいといわれています。  したがって、アルツハイマー型の認知症を防ぐには、人とのおしゃべりを楽しむ、趣味をもつ、新しいことに興味をもつなど、アクティブに生きる姿勢をもつことが大切です。また、以下のことにも気をつけましょう。

●食生活:  ある調査によると、アルツハイマーの人たちには発症前から偏食傾向がみられ、魚と緑黄色野菜の摂取が少なかったそうです。魚と緑黄色野菜を積極的に食べることがボケ予防になるかもしれません。

●運動:  屋外の運動(例えばハイキングなど)や環境を変える旅行などが、ボケ予防のための刺激になります。ゴルフやテニスなどグループスポーツであれば人とのコミュニケーションもできます。

●ゲーム:  マージャンやトランプ遊び、囲碁などは脳神経活動の刺激になります。

●検診:  認知症は早期発見し、専門家に診てもらうことで進行を遅らせることができるケースが少なくありません。脳ドックなどを定期的に受けて早期発見に努めましょう。なお、最近、物忘れ外来などという名称で認知症専門外来を設けている病院も増えています。

(コラム)再就職によるストレス・定年うつ病

 さまざまな環境の変化がストレスとなり、うつ病を発症させることが少なくありません。中高年の男性の場合、うつ病の引き金になりやすいのが再就職、定年、失業といった仕事に関することです。東京都老人総合研究所の調査によると、就労者に比べて失業している人にうつ傾向が疑われる割合が高かったそうです。その背景として、失業による経済的困窮もありますが、老後の準備ができないという将来への不安増加が強いストレスになっているとコメントしています。  中高年のストレスの特徴は、心身症的な症状を訴えるケースが多いという点です。肩こり、頭痛、耳鳴り、吐き気、不眠、やせ、腹痛、胸の痛みなどです。今聞いたこと、やったことをすぐ忘れるという記憶力の低下もよくみられます。これらは認知症の初期症状と似ているので、精神科や心療内科などの専門医を一度受診するとよいでしょう。