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◆ 小児虚弱体質について
◆虚弱児という字句の解釈は,なかなか決定出来ないことがある.それは健康と虚弱との境界というものが,それほど厳密でないからである.医学的に強いて意味づければ,「虚弱児とは,一般的免疫ないし抵抗力が生理的範囲より低劣なものである。 |
●筋骨薄弱な小児
●神経質小児
●体質異常のある小児
●貧血症の小児
●発育の悪い小児(特別に疾患なく)
●感冒にかかり易い小児
●微熱のある小児 |
◆またアレルギー現象というようなものも此の部類である.これは内,外の刺激によって,皮膚では過敏で爛れやすく湿疹などを生じたり,またそうでなくも騒痒感を起こしたり,蕁麻疹を生じたりする.同じく粘膜でも炎症を起こしやすく,感冒に罹りやすく,慢性化しやすい.鼻カタルや,咽頭炎,気管支炎なども起こしやすく,治りがたいものである.こういう小児は地図状舌を有するのが特徴である.胸腺淋巴性体質は,身体の淋巴組織や胸腺の増大を特徴とし,すべての刺激に対して抵抗が弱く,急性伝染病に罹ったりすると症状が重くなりやすかったり,麻酔,小手術,精神感動その他の重大ならざる原因により突然死したりする.この体質のものは,一見して肥満しているように見えるので,外見上は判断はつかないものである.無力症体質といわれるものは、頭が大きく,筋肉は弱く,背は比較的高いが,皮下脂肪がすくなく,心臓の働きも弱く,疲れやすいものである.神経性体質といわれるものは,睡眠も浅く,興奮しやすく,嘔吐を起こしたり,消化不良を起こしやすく,疲れやすいものである. |
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<食事療法>
◆食物などに対する注意は現代医学の場合と同様であるが,漢方の気,血,水の学説による気の廻りの障害,血行の障害,水つまり体液の循環障害と考えられる水毒などの障害が考えられるので,それらの障害を除くために,食物の中でも果物類など水分の多いものは多く水毒に関係するため,その摂取には注意深くせねばならぬと考える.次に薬方について述べる. |
◆ 小児虚弱体質
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
黄耆建中湯(おおぎけんちゅうとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
@小建中湯:[解説](金匱要略)
本処方は、小児の代表処方です。本方は、小児に用いることが多く、虚弱児の体質改善、体力増強を目的として用います。虚弱体質で、筋肉の発育もよくなく軟らかい、動作が不活発でおとなしい、根気がなく、甘えん坊である、姿勢が悪い、脚が弱い、おしっこが近い、よく発汗し夏季には、よくあせもを出す、甘いものやジュースなどを好む、間食をよくする、などの傾向が見受けられます。
また、小児や虚弱者の便秘に対して用います小児に限らず大人でも、胃腸虚弱で疲労しやすい人にはしばしば用いられます。
本処方は虚弱体質で疲労しやすく、のぼせ、腹痛や動悸(どうき)があり、冷え性で手足がほてり、排尿回数、尿量ともに多いものに適応されますが、他に次の症状に応用されます。
喘息、風邪を引きやすい、夜尿症、胃弱・胃下垂・胃アトニー症 胃アトニー 減酸症 小児下痢 腹膜炎 小児便秘 。反覆性臍疝痛
小建中湯:[構成]
桂枝(けいし):生姜(しょうきょう):大棗(たいそう)各:芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):以上を煎じて滓(かす)を除き、膠飴(こうい):20を加えて、再び火にのせ、煮沸すること5分間で止め、これを服用します。1日2回程度の服用が目安です。 |
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A黄耆建中湯:[解説](金匱要略)
上記の小建中湯よりは、全身的な、虚弱の者ので、守備範囲が広く、喘息、風邪を引きやすい、胃弱・アレルギー性鼻炎・寝汗、湿疹、胃アトニー症、 小児下痢 、小児便秘 、夜尿症の体質改善に用いる。肺を強くするには半夏を加える。
黄耆建中湯:[構成生薬]
黄耆(おおぎ):桂枝(けいし):生姜(しょうきょう):大棗(たいそう):芍薬(しゃくやく): 甘草(かんぞう): 以上を煎じて滓(かす)を除き、膠飴(こうい):20を加えて、再び火にのせ、煮沸すること5分間で止め、これを服用します。1日2回程度の服用が目安です。
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B柴胡桂枝湯:[解説](傷寒論)
全身的な、虚弱の者ので、癇が高ぶり、慢性の扁桃腺炎、上気道感染、蕁麻疹、喘息など守備範囲が広く、胃弱・アレルギー性鼻炎・夜尿症の体質改善に用いる。過敏性大腸などには芍薬を増量する。
柴胡桂枝湯:[構成]
柴胡(さいこ):黄ゴン(おおごん):人参(にんじん):半夏(はんげ):桂枝(けいし):生姜(しょうきょう):大棗(たいそう):芍薬(しゃくやく):
甘草(かんぞう): |
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参考になる処方名
●小建中湯 ●黄耆建中湯 ●柴胡桂枝湯
●五苓散 ●柴胡清肝散 ●治頭瘡一方
●六君子湯●人参湯 ●補中益気湯
・・・・上記の処方は、参考漢方処方です。・・・
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